ゆきんこ
……なんて思ったのもつかの間……




「……おおっ…?文人?!」




アッサリ名前を呼ばれたのは……



文人であった。



足音が……
次第に近づき、私たちのすぐ横で……



止まった。




「……おう、新野。久々。」



「へぇ~、おまえら、……ふ~ん…そうだったんだ?」



……ん?なに、この会話。


「……。いや、つーかお前こそ幸と知り合いってびっくりなんだけど。コイツ、人見知りだし。」



「……あ~…、確かにね。何、今日はデート?」



「……デ、デートって!」



思わず口を挟む私に……



文人が笑いを堪える。



「勘違いしてくれんのはありがたいけど…、俺らはアイス食いに行くだけっ。」



「……へぇ……。」




「そういやWINTER CUP惜しかったなあ?ベスト8止まりだって?」



「そう。1ゴール差。めっちゃ泣いたっての。」



泣いたって……


新野が……?!



いやいや、それよりベスト8って……。




「…すっごいね、そんなに強いんだ、南校って。」



「幸…、俺らも一昨年出てベスト8だったけど…。」



「え。そうだった?すごいじゃん!」



「ったく…俺にゃ全然興味ねーんだから。」



「…違う違う、わ~ゴメン文人!」




いじける文人に、平謝りして……


それから、新野に向き直す。




「……あのさ、今朝の件だけど……。」



「…ん?」



「スノーボード!あれ、瀬永達も一緒だよね。咲も乗り気でさ…、いつ行く?」



「…………。」



……あれ?
ナゼに無言…??



「……今週末。」



「……へ?」



今週?



「今週末でいい?」



「…も、もちろん。」


わわ……、
急だな……。



「……いいの?文人。」



新野が真顔で……


文人に聞く。



何でまた、文人に……?




「別に俺に聞くなよ。」



文人は顔を背けて……


素っ気なく答えた。




「……じゃあ、詳しくはまた。メールするから。」



……!
メール!


新野から……メール?!



「わ…、わかった!」



「んじゃ、楽しんで。」


ニッコリと笑う新野に……



「言われなくても。」



つっけんどんな文人。




私は何やら小躍りしちゃうくらいにハイな気分。
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