ゆきんこ




バスを降りると……、




そこは大荒れ。




「女子高生って寒くねーの?生足出して。」



「……文人どっかの親父みたい。」



「…うるせーな、風に飛ばされんなよ。」



「…え……?」




文人の手が……



ガッチリと私の腕を掴む。




「ホレ、ちんたらしてんな。」




振りほどく訳にもいかず……。




吹きっさらしに……
足が樹氷になっていくのを感じながら……




そのまま、半歩後ろを歩いた。




その後方に……




聞き覚えのある声が…、聞こえてくる。





なんだ……、


新野たちも……遊びに来たのかな。












プラザに着いて……、



私たちは、互いに雪をほろい合った。





「……なんか……、文人が真面目に見える。」



「あ?なんじゃそりゃ?」



「…だって髪がペチャンコ。」



いつものヤンチャな感じの面影……、なし!



「……ますますいい男だろ。」



「さあ…。」



「テメ…、うんっていっときゃかわいいのに。」



「……ど~せかわいくないも~ん。」



「………。かわいいよ、幸は。」



「………へ?!」




今のは………



文人の言葉?!


なに……、なんなのコレ。



さっきといい、今といい……




調子、狂っちゃうじゃん。










「……わ、新商品出てる……。ど~しよ~!」



ショーケースにかじりついて……


吟味する。




「…ダブルにしたらいいじゃん?」


「なるほど…、じゃあ欲張っちゃお!すみませ~ん、ベリーチーズケーキと、ザッハトルテのダブルひとつ。」



「…それと、バニラとチョコミントのダブル。」





文人が財布からお金を出す。



「…ちょっと待って!いーよ、自分で払うから。」



「後ろ並んでる人いるし、今日誘ったのは俺だから…、いいよ。次回何かおごって。」



「…………う、うん…。」



『次回』……?



「ありがとう。」



「…なんだよ、アイスくらいで。……ハイ。」



文人からアイスを受け取り……



私は数少ない席を、先に陣取った。










< 41 / 234 >

この作品をシェア

pagetop