ゆきんこ
「うまっ……!」
文人は一口食べて……
目を輝かせる。
「そっか。文人ここのアイス初めてなんだもんね。」
「や。お前があまりにもうまいうまいってゆーから…、食べてみたくなったんだよな。」
なるほど……。
だから私を誘ったのか……。
文人なら、誘う相手いっぱいいるだろうに……。
「私のなんて、もう絶品だよ?ひと口食べてみ?」
私は躊躇なく……
文人の前に差し出す。
「………えッ……」
驚いた顔するなんて思いもしなかったから…つい、女子のノリでやってしまった。
「「……………」」
なんとも言えない空気が流れて……
えいっ。…と、文人がかじりつく。
「……うまい…!」
顔を上げた文人の顔はキラキラ……
人のことは言えないけどさ、なんて単純……。
「お前も食っていーよ。」
今度は文人が差し出す。
「………うまいっ!」
そう言って……
顔を上げたその視線の先に………
「…………!」
ニヤける男子の集団!!
に………、
新野………??!!
「…ん?」
固まる私に気づいて……
文人が振り返る。
「……うおっ!?」
文人もまた……
大袈裟に驚いて見せた。
み……、
見られたーっ!!
「暑いからアイス食うべ。」
「おう、あっついからな。」
瀬永達と見て見ぬふりして……
離れた席に座った。
「……やりづれぇな……」
「……だね。」
「早くいくべ。」
「……うん、だね。」
私たちは、味わうどころじゃなくなって……
急いでアイスを食べて、
いた~い視線を浴びながら……
その場を去った。