ゆきんこ
街中をブラリブラリと歩いて……、
時折、気になる店に入ってみる。
スポーツ店に入って、バッシュを見る文人の顔は……
とても生き生きとしていて、羨ましいとさえ思った。
文人もまた……
バスケで推薦が決まった。
私もバレーは好きだけど……
そこまで好きかと言われれば……、
うん、文人の思いには敵わない。
そうだ……、
文人にも推薦がきてるんだから……
きっと、新野も来たんじゃないかな。
新野は……
バスケを続ける?
大学に行くの?
それとも……?
「……幸……?」
「……えっ…」
しまった。
ボーっとしてた?
「大降りになったし…、そろそろ帰ろっか?」
「……ん。そーだね。」
びゅうっと風が吹いて……
その度に、顔に雪が刺さるように……
ふりかかる。
じんじんする顔……。
感覚が、ほとんどないくらいに……
冷たくなっていた。
「…大丈夫?」
文人は風向きを見て……
その身で、私をガードするように……
風上を歩いた。
「……ありがとう。」
さり気ない優しさは。
いつもいつも……
こうやって、
私に向けられる。
すぐ気づいて、行動に移れるなんて……
ある意味すごい。
文人がモテるの、わかるなあ……。
……そんなことを思いながら、
ようやくバス停に着く。
ここは屋根があるから……
少しは、マシな気がした。
「…ちょうどバス時間だけど……、多分かなり遅れるよなあ……。」
文人はボソっと呟いて…。
ベンチに座る、私の隣へと腰かけた。
「……さみーな……。」
「……うん。」
「あったかいもの買ってくる。幸は何いい?」
………。
「じゃあ…、ミルクティー。」
私は財布からお金を出して……
「これでお願いっ。」
にこりと笑う。
「………。俺の分まで……。いいって、こんくらいいらねーよ。」
「いいから!おごられっぱなしや私が嫌なの。」
「……わかったよ。ごちそーさま。」