ゆきんこ
あー…、背中、おっきいな…。
歩くの…早い。
途中まで帰る方向が同じ。
だから……
必然的に、君の後ろを歩く。
サク…
サク……
ふんわり雪の下は、ザラメ雪。
歩く度に、音を立てて……
次第に早まるそのリズム。
大雪だから…急いでる?
妨げられる君の背中を……
見つめて。
私はずんずん進んで行った。
「………ギャッ!」
叫ぶのとほぼ同時……
私は見事に足をとられて……
よりによって、顔から雪の中へとダイブしていた。
な……何事?!
身体を起こし、立ち上がろうとするが……
右足は雪の中。
「…ぬ……抜けない。」
なんてこった!
上半身だけバタバタしていると……
頭上からは…笑い声。
「大丈夫?」
ひょいっ、と、いとも簡単に………身体が宙に浮いた。
「…だっ…だっ……」
大丈夫……じゃない!
なんてこと!
新野滉に……助けられてるーっ!?
「……ブーツ脱げてる。」
雪中に取り残されたブーツ。
「…足、雪につくと悪いから…、つかまってて。」
新野滉は、私をすぐそばに下ろして……
彼のジャケットを掴ませた。
もちろん、片足だから……
上手くはバランスがとれない。
このまま抱き着いちゃおうかな…。
いやいや、駄目っしょ。
「よいしょ。…っと。」
上半身を屈めて……私のブーツを掘り出すと、
「…わ。雪だらけ。」
そう言って…
ブーツの中の雪をとった。
あわわ……
臭うよ、きっと………。
さ……
最悪だあ……。