ゆきんこ
「……新野…、寒くないの?」



すぐ隣りの新野は。



なんと、Tシャツ1枚。



「……あちーわ、逆に。」




「……ふ~ん……。」




なるほど。
汗だくだもんね。




新野はペットボトルの蓋を開けると……




ゴクゴク音をたてながら飲んだ。





「…プハーっ。うまいッ!!」




光る汗。


キラキラの太陽。



爽やかな……


イケメンの笑顔!




「…ビールのCMだ!」



思わずついて出た言葉に。




「…はあっ?!」



新野兄弟は変な顔してこっちを見た。





しまった。



声に出してしまったか……。



私がアワアワとしていると……



新野はくすくすと笑った。




言いたいことはわかってる。


リアクション女王って言いたいんでしょう?






「……はい。」



「…え?」




新野がペットボトルを、私に手渡してきた。




「……飲みたそうな顔してたし。」




…………。



ちっがーう!!




でもでも…
あんなに嬉しそうに飲まれちゃあなあ……。




確かに、飲みたくもなる。




「…………。」




でもこれは……



間接キスっ!?




「…あれ?いらなかった?」



「…の、飲むよ、飲みますとも!」




そう言って、ペットボトルに口をつけて……



ぐいっと飲んだ瞬間に。









「チュウだ~、間接チュウだ~!」



陸くんの、ボディブロー。



「………えっ?!…うっ……」




お陰で炭酸が喉で弾けて。



思いっきりむせてしまった!





「…陸っ!お前アホなこと言ってんなよ、ガキのくせに。こんなの、誰も気にしないっつーの。大体それならお前と俺もしょっちゅうだぞ。」



「だってクラスの女子どもが言ってたもん。男と女じゃ違うって。」



「アホか!最近の小学生はマセてるなあ…、なあ、福嶋?」




「…………。」



『間接チュウ』……。


言葉にされると、こうも恥ずかしーものなのか…。




「……お~い、大丈夫?」




「だ、大丈夫。ご心配なく!」





だって新野は……


全く意識なんてしてないでしょう?




こんなことくらいで、動揺なんか………



しない。
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