ゆきんこ
VS小学生は、想像以上に体力を消耗し……、




「お腹すいた~!」




遊び疲れた陸くんは、放り投げていた手袋とウェアを拾い上げると…




「……兄貴!俺もう中にはいる!」とそう言って、私に手招きした。



「………?何?」




「ゆきんこも来いよ。」



「…えっ。いや…、陸くん戻るなら、私もそろそろ自分ちに帰るよ?」



「……いいから来いよ。兄貴が旨いもん作るから!」



「……えっ?」





陸くんとああだこうだとしていると……




「福嶋!俺も今日の作業は終わりにして、残りは明日するから…ちょっと家寄ってけば?」



「……でも……。」



「…今丁度昼時!大したもんできないけど、メシくってけ。」



「……えっ…、もうそんな時間?!」






時計を見ると……、
確かにお昼の12時を回っていた。




「今降りるから。」






新野は宣言通り、屋根からスノーダンプとスコップを庭に投げ下ろし…



それから、梯子を下ってきた。







「ほら、行くぞ。」





それから、躊躇する私の腕を引いて……




三人で、家の中に入った。






「……お邪魔しまーす。」




新野といると…


いつも予測不能な展開が待っている。




ハラハラ、ドキドキ……




私を飽きさせることはない。







「んじゃー、適当に作ってくるから。こたつに入ってあったまってて。」




「…ありがとう。」




「何かリクエストはある?」




「……え~と……。……あ、あのさ、さっき見つけたんだけど、クレイジーソルトを使った料理なんてできる?」



「……ああ、簡単なものなら。」



「…じゃあ、それで。」



「了解。」










残された陸くんと私は、こたつに入って……



ぬくぬく。





遊び疲れたのか、陸くんは無言のまま……

横になって、何度もその体勢をかえながらゴロゴロとしていた。






一方の私は、ふと……今朝のことを思い出していた。






そう、


咲に言われた言葉。



彼女に……新野の携番を教えてもいいかを、聞かなければならない。





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