ゆきんこ
「…スノーボードにはいけなかったけど、これはこれで良かったっていうか…、陸くんは可愛いし、なんかまったりしてて……時間がゆっくり流れている感じ。こーいうの、結構好き。」



「…………!……あ、そう?」



新野はふいっとそっぽを向いて……



うなじを軽く摩る。




「……新野…、照れてる?」




「……!や、違う!」



「顔…ちょっと赤くなってるよ?」



「……あ?」



「………。うっそー。」



「………テメ……」



「だって、新鮮な反応するからさあ~、つい、からかいたくなっちゃった。」




「…はあ?!マジか……。てか、アンタ結構小悪魔?」



「げ。初めて言われた。」




「…男は、そういうのに弱いって知ってる?」



「……え?」





真剣な瞳が、私を……捕らえていた。




「……男友達に、いつもこんな感じなの?」




「…………。」





卵を溶く私の手を、新野が掴んで……


その動きを、中断させる。




「……それとも…、天然?」



「……??に、新野……?」




「………。勘違いするよ。」




「……え?」




どういう……こと?





「………、なーんて、な。」





ニヤリと笑う新野の顔に……



私はホッと胸を撫で下ろす。




「……び、びっくりした~…。」




「…だろ?仕返しだ。」




「やだなあ、もう。」




「……ほら、混ぜすぎないうちにクレイジーソルト入れてよ。」




「あ、ハーイ。」




ドギマギしながらも…、クレイジーソルトを軽く振り入れる。




「…このくらい?」



「…気持ちもうちょい。」



「うん。」





それから…
再び、さいばしを動かす。




「……けど……、さっきの、ちょっとだけホント。」



「……え?」



「………文人と福嶋ってさ……」




「…………?」




「………。ごめん、何でもない。」




「………。」




そこまで言いかけておいて……



気になるじゃん。



私と文人が……、何?







新野はきっと……、まだ、誤解してる。



私達が付き合ってるんじゃないかって……




思ってるの……?





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