ゆきんこ
「げ!もう夕方?」
辺りが薄暗いことに気づいて……
新野は時計を見上げる。
「…ごめん、福嶋!まる一日になっちゃって!」
「…ううん、大丈夫!」
私はのそのそとコタツを出て……
帰り支度を始めた。
「…あら。もう帰っちゃうの?ゆっくりしてけばいいのに。」
「……ちげーよ。この人は、陸の相手にしに来てくれて……。」
「……え?陸?」
お母さんがキョトンとしている。
「……アンタの彼女じゃないの?」
「何でだよ、さっきいったろ?友達だって。」
「……アラ、そう…?」
私は新野の話に合わせて、こくりと頷く。
「…あの……、すみません、おじゃましました。」
私は立ち上がると…深々と頭を下げる。
「お構いもできなくてごめんなさいね。」
綺麗な顔で……
お母さんさんはにっこり笑った。
「…今度はまたゆっくりいらっしゃいな。」
社交辞令でも……
嬉しい言葉。
「……ハイ!」