桜の生け贄
「お姉ちゃん見てみて~桜だよぉ~」
「おお~やっと見えたよ~!!ほら!悠輝くんも見てみなよ!」


すぐに見た。

言葉を失った。

綺麗だった。

丁度良く大風が来た。

ここは桜の木が密集している中庭だから、そこに大風…

桜の花びらで視界がほとんど見えなくなった。

一面ピンク色になって、あずさしか見えなかった。


と、言ってもゆずがはしゃいで桜の中に飛び込んだからだ。


「綺麗でしょ?村一番の桜だよ。」
「ああ…綺麗だな…」
お前が。


心の中で一人思ってた。


二人だけ…の時間もすぐ終わった。

土曜日の男があずさに抱きついてきたから。

土曜日の時のように、あずさがグーパンチをくらわせた。


俺がグーパンチをくらわせたかった。


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