桜の生け贄
家に戻ったら、放り投げたから中身が飛び出してる教科書などをかばんの中に入れて、ふすまを全部閉めて、密室状態の自分の部屋でその本を読んだ。


目次を見て、書いてありそうなページを探し、ページをめくった。


ここだ。

なんか難しく書いてあるから、ここでは簡潔に説明させてもらう。


「桜の下には死体が埋まっている。その死体は必ず手首から血が出ていて、その血を桜は吸って花をピンク色にしている。」


この話以外に伝説は無かった。


全部の本が正しいことを書いてあるわけではない。と、前の学校で言われ、俺もそれを信じていたから、嘘の可能性もあるが、俺は思いっきり動揺した。


あずさが言ってた、もうすぐ悠輝くんだから…俺は…あの桜の生け贄になるのか…?

心臓がやけに早く動く。

呼吸が乱れる。

冷や汗までかく。

そのとき、


「悠輝くーん!?お洗濯物とりこんでくれな~い?」


ばあちゃんの声だ。

いたって平和そうなばあちゃんの声に、戸惑いながらも呼吸も落ち着き、ほっとした。


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