桜の生け贄
「ねえ…どうして悠輝くんの両親が、生け贄になったのか…分かる…?」

「な…なん…で?」

口が震えて、声が出にくい…

「裏切り者だからよ!!!」

あずさはすごい形相で俺を睨み、胸倉をつかんだ。

服が少し破れる。

怖い…あずさ…

昨日までの優しい顔が見たい…

最初から嘘として接していても何でもいい…

あずさが俺を見て笑ったとき、俺は嬉しかった…

そんなことを思っていたら涙が流れた。

なぜかは分からない…

それに気づいたあずさは

「ははっ!!泣いてるの?かわいそうね!でも私には悠輝くんの涙ふけないから!泣きながら聞いてちょうだい!」

そう言ってつづきを言う。

「あいつらはね…あの女は元々この村の住人なの!

でも都会に行きたい。そう願ってしまったのよ!

家族を捨てて…一時の幸せをつかむために…

あいつは知ってた!!

この村を捨てた者は桜の生け贄になるって

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