桜の生け贄

ムカシバナシ

ー数十年後ー

この踏み切りを超えて、左に曲がって中道を通って…一際綺麗な家…

僕のお気に入り。あった!!

「おばあちゃんこんにちはぁ~!!ねえねえ!あの話してよ!」
「…!ああ。こんにちは。ほんとに好きだねえ~もう何回目だい?」
「いいじゃん!その話聞きに来てるんだよぉ!早く早く!!」
「はいはい…あれは私が幼かったときのこと…」

私は伊藤ゆず。

前の名前は前原ゆず。

ずっと沙雪村に住んでいたけど、年老いてきて買い物さえ辛くなってきた。

だから旦那に頼み、少しは栄えている町へ引っ越した。

その町はこの好奇心旺盛な男の子が住んでいた。

その子が偶然、通り雨に打たれてたから雨宿りをさせ、暇つぶしに私のあの話をしてあげたら予想外にはまった。

それから週一回のペースで言わされる。

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