甘い唐辛子
「そういや、パーティーはどうだったんだよ?婚約披露あったんだろ?」
「まぁ、なんとかな…」
「霞澄さん、綺麗だったんじゃないのか?」
「そうだよ!!写真くれよ!」
確かに霞澄は綺麗だったけど…
「写真なんか撮ってない。」
撮っとけばよかったと、今、ものすごく後悔している…
「お前の誕生日には入籍だろ?いやぁ、なんか変な感じだな。」
「希波矢、おっさん臭い。」
「何が変?」
希波矢はメロンパンの最後の一口を自分の口に押し込みながら、俺を見つめた。
「維十がだぞ?もうすぐで奥さん出来るんだぞ?なんか変な感じ。」
「しかも相手があの霞澄さんだしな。」
「なんだよ、悪かったな、力無くて…」
既にわかっている事をわざわざ目の前で、改めて言われるのは好きじゃない。
前々から知っていた。
霞澄と俺が釣り合わない事ぐらい…
でも仕方がない。
婚約しちまったものは、最後までしないと……
………いや…
婚約破棄も、やろうと思えば出来るよな?
あれ?
なんで俺、そんな考え無かったんだろうか…?