甘い唐辛子
「俺はてっきり、初めから維十は霞澄ちゃんのこと好きなんだと思ってた。」
希波矢の言葉の後に、海はため息を吐いていた。
きっと、海は俺がまだ自覚してないのに気づいていた。多分…絶対そうだ。
海はそういう人の心みたいなのに敏感というか、鋭いからな…
「そういえば、前に霞澄さんに会った時に思ったんだけど…お前、婚約指輪は渡してないのか?」
「…………っ!!!!」
「バカ。早く用意しろ。」
俺が驚きと困惑の情けない顔をした為か、海は心底呆れた様子で俺を見て、教室のドアを指さした。
今すぐ行けってことか!?
いや、でも今の方がいい気がする……
俺は海に流されるまま、教室を速足で出ていき、電話で車を呼び寄せた。