甘い唐辛子

「ハァ…まともな案はねぇのか。」

海の説明を聞いていると、だんだんと体が重くなっていくのがわかった。


「おーい、決まったか~?」

暫く女子と男子のバカバカしい戦いを観戦していると、このクラスの担任であり、常にやる気の無いことで有名な奴が教室に入ってきた。

奴の名前は大山貴志(オオヤマ タカシ)、26歳。
人気者と言えば人気者
嫌われ者と言えば嫌われ者


「俺はメイド喫茶にサンセー。」

「えー!嫌だよ、メイド姿なんてキモいし!」

「はっはっはっ。さ、とっとと決めろ。」


ワザとらしい笑い声をあげ、名簿で自らの肩を叩きながら、ニコニコと微笑む奴は、正直苦手だったりする。

「あぁ、そうそう。俺、伝達間違えててなぁ。26日に学園祭あるっつったけど、14日だった~。
はっはっ、だから早く決めろよ~。」


その言葉に、打ち合わせでもしたかのようにクラスから音が無くなった。


その後、大山が委員長に怒鳴られたのは言うまでもない。


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