甘い唐辛子

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「んじゃ、人探しゲームに決定すんで!いいやんな?」

「「いいでーす!」」

「はい、じゃあ起立、礼。さいなら~!」


関西出身の委員長の号令で、臨時の学級委員会は終わった。


「変装って、何する?」

「俺は適当に。」

「俺も。希波矢は何すんの?」

「俺、ガチャピン!!」

「「は?」」

胸を張り、椅子の上に立って叫んだ希波矢を見上げ、俺と海は変な声を出した。


「妹がさ、お兄ちゃんのガチャピン見たいって言ってさぁ!だからガチャピン!!誰が何と言おうとも、俺はガチャピンします!」


希波矢のやる気満々の顔を見て、俺と海は顔を見合わせた。

「希波矢の妹って…」

「希波矢と12歳違う、年の離れた女の子。確か…」

「朱梨(アカリ)ちゃん。だよな?」

「そう。希波矢が溺愛してる子。」


1人はしゃぐ希波矢を無視して、俺と海は昔1度だけ会った朱梨ちゃんを思い出していた。



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