甘い唐辛子
「ガチャピンって、どうするんだろうな。」
「さぁ?じゃ、俺、帰る。」
「早いな、海。何かあんのか?」
「女。」
「あっそう。」
明らかに面倒くさそうな顔をして、海は教室を出て行った。
窓の外に目をやれば、校門前に一台の真っ赤な高級車。
その車に寄りかかっているのは、茶髪を巻いた、化粧の濃い派手な女。
俺達の教室は2階にあるからよく見える。
昇降口から出てきた海を見つけると、その女は煙草を地面に捨てて踏みつけた。
海が近づくと、女は海の首に腕を巻きつけてキスをねだっている。
ここからじゃ、海の背中しか見えないが、きっと海は嫌そうな顔をしているんだろうな…
大変だな、海も……
海は、今、年上の女と付き合っている。
いや、付き合っていると言うより、付き合ってやっていると言った方がしっくりくる。
逆ナンしてきたしつこい女とそのままホテルに行ったら、いつの間にかケー番もアドレスも知られていて、無理矢理付き合わされてる形になっている…
と、海が嫌々言っていた。