甘い唐辛子


俺はビックリしすぎて声が出なかった。

何も言えないまま、ネックレスを箱から出して眺めた。


何かで削ったような跡、
俺の好みが凝縮したようなデザイン、

トップの飾りの裏には小さな文字で


『ITO BEST FRIENDS UMI』


「…芸が細けぇな。」

「力作。その文字は恥ずかしすぎるから読むな。」


素直な言葉が言えない俺と海の頬は少し赤くなっていた。


「サンキュ。」

「俺の誕生日には倍返ししてくれることを期待してる。」

「そんな期待無駄だぞ。」

「俺が頑張ったんだから、お前も頑張れよ。」

「はいはい。」



――
俺も頑張ったんだから
お前も頑張れよ
――


多分、
いろんな意味が含まれている言葉。

海らしいと言えば海らしい言葉。



本当、久々にこんなに感動した。

泣かなかった俺に拍手。



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