甘い唐辛子
▲告げる時▲
Side:カズミ
私は、決めなければならないのだと…
いや、決まっているが、告げなければ意味がない。
不安とか
恐いとか
そんな気持ちは微塵もないが、ただ…
この私で本当に良いのかということ…
それに
正直、恥ずかしい…
「そんじゃ、帰るね、霞澄ちゃん。」
「あ…あぁ。」
「維十!!くれぐれも襲うようなことするなよ!!」
「しねぇよ!!」
維十と希波矢は言い合いをしながら、私の前を玄関に向かって歩いて行く。
「霞澄さん。」
呼ばれた声に振り返ると、海がにこやかに笑っていた。
前の2人と少し距離を置きながら並んで歩いた。
「霞澄さんは、海堂のこと、どう思ってるんだ?」
「私は…私は、維十が大切だ。」
「それを海堂には?」
私が首を振ると、海は残念そうに眉尻を下げた。
「できれば…できれば早めに伝えてあげて。あいつ、結構悩んでるみたいだから。」
「悩む?」
「『本当に俺でいいのか?』って。『霞澄は他の男の方がいいんじゃないか?』って。あいつ、意外と乙女だから。」
「………」