甘い唐辛子
「この後の予定は?」
「18時から藤成の組長、姉御、若頭、幹部の方達と食事することになってます。」
助手席にいるヤスさんは、後ろを振り返りながら教えてくれた。
海堂に来てから1度も会っていない親父と虎太郎に会えると思うと、悲しさも嬉しさに変わった。
そうか、と言ってから携帯で時間を確認すると、15:49と表示されていた、
18時までの空き時間はどうするんだろう…
考えながら画面を見続けていると、『維十』と書かれた着信画面へと切り替わった。
私は通話ボタンを押し、電話にでた。
「どうした?」
『この後、適当に出掛けねぇ?』
「どこに?」
『だから適当に。』
「別に構わないが…」
『んじゃ、次の信号の所で車停めるから、降りろよ?』
「わかった。」
『じゃ、また後で。』
機械音が聞こえてきたのを確認してから携帯を耳から離した。
少しの期待と嬉しさから、私の顔は穏やかになっていたんだろう…
運転してる組員もヤスさんも微笑んでいた。