甘い唐辛子

「そうだな…私も切るよ。」

「…毛先整えるだけにしないか?」

「…私のか?」


微かに頷く維十に首をかしげる私。
維十の顔は時間が経つに連れて赤みを帯び、最後には「なんでもない」と言って私に背を向けて歩きだした。



「…いいのか?」

「だからなんでもない。」



少し拗ねたような声色に、笑いそうになったのは黙っておこう。



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