甘い唐辛子
シャツの間から除く肌は異常な程に白く、生きているのかと疑いたくなる。
「オーナー、帰ります。」
女は、奥へと向かって声をかける。
直ぐに、未緒さんの声が返ってきた。
「え?夕飯、作ったけど。」
「家業があるんで。じゃ。」
無表情に、どこか冷たくそう言い、女は鞄も持たずに店を出て行った。
「あぁ~…行っちゃった。」
残念そうな未緒さんは、既に出来上がっていたらしいナポリタンを皿に盛り、持ってきた。
ナポリタンは文句無いほど旨かった。
けど、女のことが気になって、全員何も話さなかった。