甘い唐辛子



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「維十、娘を頼んだぞ。」

「はい。」


いつの間にかお父さんは維十のことを呼び捨てにしていて、私はそれが不思議に思ったが、あえて言わなかった。

言っても、私が望むような解答は返ってこないと思うから。




春の日差しから夏の日差しへと、
切り替わったかのように外は暑く、
私達の影を濃い黒で地面に刻みつけていた。






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