甘い唐辛子


Side:イト


霞澄の親父さんは、俺でもビビるくらい迫力・威圧感・威厳がある人だった。


でも、ここで怯んでいては、霞澄の夫として、海堂の次期組長として認められないと思って、必死にビビっている自分を隠した。


でもそれは最初だけで、話して見ると良い親父さんだった。

娘の事を想って、最近の霞澄の様子を訊いてきた。

と言っても、
「霞澄の体調は大丈夫だったか?」「仕事は出来ているか?」

の2つだけだったが…


俺はその質問にどちらにも頷いた。


「そうか」と言って微笑む親父さんの顔は、ヤクザの組長とは思えない程穏やかで、普通の優しそうな親父さんだった。


< 178 / 212 >

この作品をシェア

pagetop