甘い唐辛子
食事も終わり、ヤスと話していると、霞澄がいつの間にかいなくなったのに気が付いた。
親父さんもだ。
うちの親父は相変わらず小さくなって椅子に座っていて、組員達は互いに話し合っている。
俺は一瞬心配になったが、親父さんと親子水入らずで話しているんだと思って、探さないことにした。
ヤスとの話に区切りがついた頃、親父さんとその後ろから霞澄が戻って来た。
やっぱりな、と思いながら何の話をしていたのか気になった。
「海堂の息子。」
霞澄を見ていたせいで、親父さんが近づいて来ているのが全くわからず、思い切り肩をビクッと上げてしまった。
ゆっくりと振り返ったそこには、眉間にシワを寄せた親父さんが腕を組んで立っていた。
それだけでも威厳を感じ、俺の心臓は何かに掴まれたようになり、
これが緊張というのか、と
改めて実感した。