甘い唐辛子
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藤成家から帰って来た時にはすでに日付が変わっていた。
霞澄は珍しく眠そうな目をしていて、それが可愛いなんて思ってしまう辺り、俺はおかしくなってしまったのかと疑いそうになる。
前に希波矢にそのことを言うと、それが普通だと怒られてしまった。
なぜ怒ったのかは未だにわからないが……
玄関から霞澄と俺はそれぞれの部屋に向かっていた。
が、それをヤスが止めた。
「お2人の部屋はこちらっス。」
ヤスが案内したのは、この家の南の端にある離れだった。
「ここがお2人の部屋っス。」
離れを指差すヤスは何事も無いような顔をしているが、俺は焦りと疑問で混乱していた。