甘い唐辛子
「いっ…しょの部屋なのか…?」
「もちろん、もう結婚されたんで。」
「……」
我慢できる自信がねぇ…………
隣にいる霞澄は何て事無い顔をしていて、俺だけこんなに焦っているのが恥ずかしくなり、自分に呆れた。
ヤスが母屋に入った後、俺達は黙ったまま離れに入った。
俺達の荷物はすでに移動されていて、整理されていた。
「霞澄は…俺が一緒でいいのか…?」
「別に構わないが?」
「そうか…。」
本当に平気そうで少し安心した。
「それに…」
何か言いかけたのに口を閉ざす霞澄に、なに?と首をかしげて顔を覗き込むと、霞澄はひどく険しい顔をして首を振る。
そんな事されたら余計に気になる。
俺が更に顔を近づけて、さっきよりも強めに問いただすと、霞澄は渋りながらも口を開いた。
その言葉に、問いただしたことをこの世の終わりってくらいに後悔した。