甘い唐辛子
Side:カズミ
やっぱり言わない方がよかったのだろうか…
でも、経験ないと嘘をついて、後にバレるのが嫌だった。
それで嫌われるのが嫌だった。
だから正直に言ったが……
どちらにしろ、嫌われてしまったようだ…
維十が消えて行った部屋をコッソリと覗くと、ダブルベッドが1つ、部屋の大きな窓の横に置かれていた。
見たところ、他の部屋はトイレや風呂、リビングに小さなキッチン、と安いアパートの一室のような造りになっている。
ベッドは維十がいるあのダブルベッドしかない。
……隣に寝ても、いいのだろうか…?
私は暫く呆然とその場に立ち尽くしていた。