甘い唐辛子
俺は目を擦る霞澄の手を取って、キスをした。
寝ぼけていた霞澄は、スイッチを入れたかのように覚醒し、俺の服を掴んだ。
「い…と。待っ…」
「無理。」
俺はその先に進まないようにキスを繰り返した。
何回も、何回も。
「ん…んん~っ。」
さすがに霞澄が苦しそうになってきた頃、俺は仕方無しに口を離した。
肩を上下にさせて呼吸をする霞澄の顔が、いつもより数倍赤くなっていて、俺はそれにまた可愛いと思ってしまった。
「珍しい…どうしたんだ…?」
あまりベタベタしない俺達にとって、キスは珍しいことになっていた。
これは彼氏として、どうなんだろう……
それは置いといて、俺は霞澄の長い髪に指を通し「別に、なんとなく」と答えておいた。