甘い唐辛子
Side:カズミ
維十が怒っていないようで、ホッとした朝。
朝日はいつも以上に綺麗に、眩しく輝いて見えて、私は微かな希望をその光に込めた。
何の希望か…
なんて訊かれても答えることは出来ないけど。
隣にいる維十に目を向けると、朝日では無く私を見ていて。
ドキンと打つ胸と同時に維十の顔が近づいて来て、
重なった唇からは、溢れんばかりの愛を感じた。
幸せってこのこと…?
これは私だけ感じたことだろうか…
維十も私と同じ気持ちだったら、どれだけ幸せだろうか。
思わず訊きたくなった言葉を、恥ずかしさで呑み込んで。
私はまた空を見た。
もう夏の色を見せる青色の空と真っ白な雲に、なぜか感動に似たものを感じた。
また今日が始まる。
そんな朝。
私はそんな朝に、維十の隣にいれる事がなんだかくすぐったくて、今までの私では考えられない程、嬉しく思った。