甘い唐辛子
「悪いな、動機までは調べられなかった。」
一通り資料に目を通した私に、申し訳なさそうな顔を向けてくる維十に私は首を振った。
「いや、充分だ。あとは本人に訊くか、その道のプロに頼むよ。」
「…俺が訊こうか?」
今度は心配そうな顔をする。
私はそれにまた首を振り、自分で訊くと答えた。
維十に頼りっぱなしもいけない… 私は海堂組の姉御になったのだから、少しでも頑張らないと…
私は心の中で気合いを入れ直し、これからすることの計画を立てていた。
複雑そうな顔をした維十が、私を見つめているとは知らずに。