甘い唐辛子


この頃、維十のせいで顔の筋肉が柔らかくなってしまった。
涙腺も緩んで……



「…ごめんなさい…。今まで何も気づかないで…。」

「いや、気づかないのが当たり前だから…」



私の頭を優しく撫でるヤスさんの手は、間違い無く優しさに満ちた兄の手で。


「これからは、俺がいなくても、幸せになってくださいね。」

「っ、はい。」



こんなにもヤスさんの笑顔が心を暖かくするなんて……



その後は互いに他愛もない話をした。




ヤスさんが、本当に兄のように思えて、私は安心しきっていた。




従兄だけど、ヤスさんは私の家族のように思えた。





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