甘い唐辛子
▼愛してる▼
「…ということでした。…はい、…はい。大丈夫です。ありがとうございます。はい、では…。」
耳に当てていた携帯を離し、久しぶりに聞いたお父さんの声を思い出していた。
この間のヤスさんの話をそのままお父さんに報告していたのだ。
隣にはずっと私の左手を握っていてくれた維十がいる。
「お父さん、何て?」
「良かったなって。菫にお礼を言っておくって。」
「そうか…本当に良かったな?」
「あぁ。」
維十にはすでに話してある。
ありがとうの意味を込めて腕に絡みついた。
維十は驚いていたが、特に気にする様子は無く、そのまま私の頭に自分の頭を乗せてきた。
この時間が1番落ち着く。
維十の心音を体に感じながら瞼を閉じると、すぐに睡魔が襲ってくる。
私はそのまま眠ってしまった。