甘い唐辛子
暫く霞澄の寝顔を見ていると、インターホンが鳴った。
離れではあるが、なかなか広いからノックでは聞こえないから、急遽取り付けた物だ。
「何だ?」
『ヤスです。』
画面越しにヤスは深々と頭を下げている。
俺が部屋のドアを開けると、ホッとした様に息を吐いた。
恐らく、俺が相当怒っていると思っていたんだろう。
俺がソファーに深々と座ると、ヤスは立ったまま俺に頭を下げた。
「すみませんでしたっ!!勝手な事をしてしまって、若に無理矢理結婚させてしまうようなことしてしまって……。本当に、申し訳ありませんでした!!」
眉間に刻まれたシワと苦しそうな声から、本気で後悔していることがわかる。
謝られても…
結果的には、俺はスゲェ幸せになったし、どちらかと言うと感謝したいぐらいなんだが……
俺はどう答えれば1番良いかわからなく、返事をするのが遅くなってしまった。
「ヤス、もういいから、顔をあげろ。」
不安そうな、苦しそうなヤスと目があう。
そんなヤスの顔は初めて見た。