甘い唐辛子
「お前はやっぱり、組長に向いてるよ。」
ヤスが出ていった直後に聞こえた突然の声に、バッと寝室の方を見ると、壁にもたれた霞澄がいた。
柔らかく微笑む霞澄はゆっくりとこちらに歩いて来て、俺の手を取り、今度は意地の悪い顔をした。
「『好きな奴』って、私?」
その言葉に顔が熱くなったのは言うまでもない。
サラッと言うことは出来ても、こんな風に改めて訊かれたら恥ずかしくなってしまう…。
「なぁ、維十。顔赤いぞ?」
っ……、この女っ………
口端を上げて笑う霞澄に、無理矢理キスしたのは、細やかな仕返し。
「好きだよっアホが。」
赤い顔の霞澄に、それ以上に赤い顔であろう俺。
あぁ~恥ずかしい!!!!
霞澄のアホが!!
右手で顔を覆い、霞澄から反らす。
すると今度は無理矢理霞澄の方に顔を向けられて、
「……おあいこだ、バカ。」
キスされた。