甘い唐辛子

霞澄の事が俺と重なって仕方なかった。

俺の母親も、俺が9歳の時に死んだから。


「霞澄は仕事を、夜中にしていて、午前中は眠り午後からはバイトをして、夜中からは本業をするという生活をおくっているようです。」


「……わかった。助かった。」

「はい。失礼します。」


後味の悪い、気持ちの悪い感覚がした。


とりあえず、霞澄が藤成組の人間だというのはわかった。

俺の母親を殺した組の姉御だということ。



困惑と同時に、悲しみと苦しみと憎しみが湧いた。

テーブルに広げられた紙を鷲掴み、力の限り握り潰した。


この憎しみが、少しでも薄れるようにと願いながら……

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