甘い唐辛子
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……8年前……
「藤成の奴らに襲撃された!!」
真冬のある日、屋敷中に響くような怒鳴り声と叫び声が交差する中、俺は必死に母親の着物を掴んでいた。
溢れる涙をこらえ、この組の姐さんである母親の側を離れなかった。
母親は俺を自分の体に隠しながら玄関へと進んで行った。
この時、親父は外に出かけていて、母親が出るしかなかったんだ。
母親は藤成の男達に怯む事なく怒鳴りつけた。
『うちの旦那がいない時に狙って来るとは、腐った根性しとるなぁ!!』
『はっ。5年前にあんたの旦那がした事を、まんま返しただけや!』
そう言った藤成の組員は銃を出し、俺の前隣にいる母親目掛けて撃った。
9歳だった俺は、目の前で母親が心臓を撃たれるところを見た。
パァンと言う破裂音とともに倒れる母親、血まみれの床、
笑う藤成の組員、震える自分の手足
何もかもが、現実ではなければと、強く願った。
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……8年前……
「藤成の奴らに襲撃された!!」
真冬のある日、屋敷中に響くような怒鳴り声と叫び声が交差する中、俺は必死に母親の着物を掴んでいた。
溢れる涙をこらえ、この組の姐さんである母親の側を離れなかった。
母親は俺を自分の体に隠しながら玄関へと進んで行った。
この時、親父は外に出かけていて、母親が出るしかなかったんだ。
母親は藤成の男達に怯む事なく怒鳴りつけた。
『うちの旦那がいない時に狙って来るとは、腐った根性しとるなぁ!!』
『はっ。5年前にあんたの旦那がした事を、まんま返しただけや!』
そう言った藤成の組員は銃を出し、俺の前隣にいる母親目掛けて撃った。
9歳だった俺は、目の前で母親が心臓を撃たれるところを見た。
パァンと言う破裂音とともに倒れる母親、血まみれの床、
笑う藤成の組員、震える自分の手足
何もかもが、現実ではなければと、強く願った。