甘い唐辛子


倒れる母親の脇に膝をつき、母親の体を揺すってみた。

何も反応は無かった。


もう一度揺すっても、何度揺すっても母親が反応することは無かった。


涙は、限りを知らないといったように、次々と溢れ、母親の頬を濡らしていった。

『母さん…
母さん…?
母さん!!
母さん!!!!
イヤだあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』



俺の叫び声と同時に親父は帰って来て、家の荒れようを見て驚いていた。





死んだ母親は、いつもより綺麗に見えた。




< 25 / 212 >

この作品をシェア

pagetop