甘い唐辛子
「頭をぶつけた痛みに堪えながら上体を上げると、母親の背中にナイフが突き刺さっていたのが見えた。
その後すぐに意識を失った。
医者が言うには、その時のショックで、感情を表情で表せれなくなったらしい。4歳だった私は、その時から無表情で冷静な子どもになってしまった。」
霞澄は俺と同じ体験をしていた……
ただ、体験した時の年齢が違う。
きっと、4歳だった霞澄は、死がよくわからなかったんだろう。そして、影響が強すぎた。
4歳の時の記憶が、今になってもこんなに鮮明に残っているくらい、ショックだったんだろう……
俺は目的だった復讐のことなど忘れ、隣に座る霞澄の綺麗な横顔を見ていた。