甘い唐辛子


「早速だが…霞澄、お前海堂んとこのガキに会ったそうだなぁ。」
「はい。海堂の次期組長、海堂維十に会いました。」
私がそう言うと、親父に軽く睨むように見つめられた。

親父は、いかにも裏の世界の人間という感じの人で、睨まれた奴は必ずと言っていい程、動かなくなる。
いや、動けなくなるんだ。

「それじゃあ、顔はわかるんだな?」

「はい。」

「姐さん、あの話は?」

「してない。まだする必要は無いと判断した。」

「しかし、早めにしないと厄介なことに…」

「おい!お前は姐さんに…」
「いい。確かにそうだ。」

組員が発した言葉に、立ち上がって怒った幹部を宥めてから、考えた。


あの話は、いつしようか。海堂の組長にするか、本人にするか。


「1週間後、海堂のガキの学校が長期の休みに入るそうだ。あの話はそん時でいいだろう。組員を5、6人連れて行け。」


私は親父に向かって頷いて見せた。

その後直ぐに解散となり、私は親父に呼ばれ、親父の部屋に向かった。


< 40 / 212 >

この作品をシェア

pagetop