甘い唐辛子
「早速だが…霞澄、お前海堂んとこのガキに会ったそうだなぁ。」
「はい。海堂の次期組長、海堂維十に会いました。」
私がそう言うと、親父に軽く睨むように見つめられた。
親父は、いかにも裏の世界の人間という感じの人で、睨まれた奴は必ずと言っていい程、動かなくなる。
いや、動けなくなるんだ。
「それじゃあ、顔はわかるんだな?」
「はい。」
「姐さん、あの話は?」
「してない。まだする必要は無いと判断した。」
「しかし、早めにしないと厄介なことに…」
「おい!お前は姐さんに…」
「いい。確かにそうだ。」
組員が発した言葉に、立ち上がって怒った幹部を宥めてから、考えた。
あの話は、いつしようか。海堂の組長にするか、本人にするか。
「1週間後、海堂のガキの学校が長期の休みに入るそうだ。あの話はそん時でいいだろう。組員を5、6人連れて行け。」
私は親父に向かって頷いて見せた。
その後直ぐに解散となり、私は親父に呼ばれ、親父の部屋に向かった。