甘い唐辛子


親父の部屋は、この屋敷の1番奥にある。

それまでの長い廊下には、専属の花屋が持ってきては飾っていく豪華な花達。
それが入れられている壺は数百万円する物ばかり。

それを横目に通り過ぎ、少し歩くと、目の前に6枚の障子が現れる。

その障子の3枚目の前に立ち、軽く息を吸う。

「霞澄です。」
「入れ。」

短い返事。
親父らしいと言えば親父らしい。


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