甘い唐辛子


私は親父…お父さんに言われた場所にあった座布団に正座した。

「……っ。悪ぃな、霞澄。こんなことになっちまって…」

泣きそうな顔のお父さんからは、普段の殺気が微塵も感じられなかった。
完全に父親へと切り替わった証拠だ。

「ううん。別にいいよ、お父さん。私、藤成の力になれるよう、頑張る。」

お父さんの大きな手を頭に感じ、自然と顔の力が緩んだ。


私は、家業がヤクザで、母親もいない分、私達親子の絆は強いものだと思っている。


だから、今回の計画も実行できる。


お父さんの為。藤成の為。
私にできることならなんでもしようと、8歳の時に誓ったから。

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