甘い唐辛子
菫(スミレ)。お母さんの名前だ。
お父さんがこの世で初めて愛した人で、今も愛し続ける人。(今の姐さんとは、嫌々結婚したらしい)
そして、お父さんを泣かすことができた、唯一の人。
うっすらとしか記憶にないけど、お母さんはどんな時も私を手放すことはなく、霞澄と優しい声で呼んでいてくれた。
姉御としても凄い人で、私が尊敬している人。
私の母親。
私の命の恩人。
私の顔はお母さんにそっくりらしく、お父さんは時々私の顔を見て、懐かしそうに目を細める。
密かな私の目標は、お母さんだったりする。
だから、まだまだ頑張らないといけない。
最弱だった藤成をお父さんがここまで強くできたのは、お母さんの力があったから。
だから今度は私が、藤成を日本一にしなくては。
お母さんに追い付きたい一心で、今まで頑張ってきたし、これからも頑張る。
だから……
だからあの計画も、頑張るんだ。
何がなんでも成功させてみる。