甘い唐辛子
「あぁ…海堂の坊っちゃん。先日はどうも。」
俺が玄関に着くと、深い青のグラデーションが綺麗な着物を着こなし、純日本人を思わせる霞澄が無表情で立っていた。
前に会った時と雰囲気が違うからか、その姿に見とれてしまった。
他の組員も、慌てる者の中に、見とれて顔を赤くさせている奴も何人かいる。
「今日は、ここの組長さんと若さんに用があって来たんだ。呼んでくれないか?」
そう言う霞澄は、やはりこの世界の人間だと思うほど、きっちりとはまっていた。