甘い唐辛子
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「なんだ、藤成の娘。何の用だ。」
親父は平然を装い、堂々としているが、内心は焦っているのだろう。
拳を強く握りすぎて、肌が白くなっている。
それに比べて霞澄は、ごく自然にソファーに座っていた。
「今日は、良い話を持ってきたんですよ。組長、海堂にとっても、藤成にとっても。まぁ、そんなに緊張なさらず、力を抜いてくださいな。」
親父の焦りはバレていたらしい。
顔が一瞬引きつり、怒りのオーラを放つ親父は、正直カッコ悪かった。