甘い唐辛子
確かに悪い話ではない。
どちらかと言えば、海堂のメリットの方が多い。
東日本一の姉御を海堂に入れれる上に、東日本一の藤成に力を借りることも出来る。
金の心配もなければ、後継ぎの心配もなくなる。
他の組の若は、皆結婚しているか、霞澄よりも凄く年上か年下しかいない。
俺が1番近かったのか。
俺は意外にも冷静に考えれている自分に驚いた。
「少し時間を…」
「今日、お返事を聞いて来いとうちの組長から言われてますの。1・2時間で応えは出ます?
出ないのなら、他の方と婚約しますが…」
「なら2時間!…2時間待ってもらえるか?」
必死な親父の返事に、霞澄は深く頷き、紅茶を飲んだ。
今日ほど親父がカッコ悪く見えた日は無かった。