甘い唐辛子

2時間ヒマだろうと言うことで、親父が俺に、霞澄と一緒に庭を散歩してくるように言った。


俺と霞澄が外へ出る時、一緒に来ていた5人の海堂の組員は付いて来なかった。

…随分俺も信用されたものだな。
庭で、危ない目に合わすことだって出来るというのに、本当に誰1人として付いて来なかった。


「ここ、犬がいるんですの?」
「あぁ。ゴールデンレトリバーが2匹。」

鳴き声が聞こえたのか?
耳がいいんだな。と思っていると、遠くから2匹のデカイ犬が走って来るのが見えた。


あれは………
っヤバイ!!!


俺は咄嗟に霞澄を犬から守ろうとしたが、霞澄は犬に向かって手を伸ばし、「待て!」と言った。

すると、ピタッと2匹の犬が同時に止まった。



……は?


普段、興奮している時のこの2匹は、よく面倒みている組員にも止められないのに、今霞澄はたった一言「待て!」だけで止めた。


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