甘い唐辛子
俺のベッドの上には、座っている海と希波矢。
熱帯魚のバカデカイ水槽前には、俺達を無視して熱帯魚を見ている霞澄。
四角い小さなテーブルの前には、眉間に力が入っている俺。
一旦俺の部屋に行くことにしたのはいいけど、今更ながらこのメンツはあんまり嬉しく無い。
「あの…座りません?」
霞澄は笑顔を見せることなく頷き、俺が用意した座布団に座った。正座で。
幻か…その正座の姿に、和室と刀2本が並んでいる映像が重なった。
やっぱりヤクザの女だ。と改めて認識し、とりあえず大雑把に海と希波矢に説明をすることにした。
「この人、藤成の第2の姉御さん。もしかしたら俺の…婚約者?になる人…?」
「なんでそんなに疑問調なんだよ。」
「え!?維十、この美人さんと結婚すんの!!?」
「いや、決まったわけじゃ…」
俺がしどろもどろで話すと、フゥと息を吐く音が聞こえ、霞澄を見ると目を伏せてどことなく呆れた様子を見せていた。