甘い唐辛子
静かに問う。見ていない奴はどうってことないだろうが…
霞澄の顔は、無表情でありながら、放つオーラはドス黒いもので……
「すっ…すいませんでした!!」
「わかったなら用件だけ言って、出ていけ。」
「はいっ!海堂の組長が、決めたようですので…」
「わかった。」
「失礼しやす。」
顔を青ざめたまま組員は部屋を出て行った。
希波矢も力が抜けたのか、壁に背を預けたまま、ズルズルと座り込んだ。
「失礼、応えを聞きに行ってきます。」
「あ、俺も。お前らここでジッとしてろよ!」
ブンブン首を縦に振る希波矢と、静かに頷く海を確認した後、俺と霞澄は部屋を出た。